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サスペンションの知識・減衰力について
サスペンションは主に衝撃を吸収するスプリングと、そのスプリングの作動を制御するダンパーとで 構成されている。この2つの構成部品のそれぞれのセッティングにより、サスペンションの特性が 決まる。
減衰力とはスプリングの縮みや伸びの作動を制御し、振動を抑える働きをする力で、その減衰力を 発生させるのがダンパーである。もしサスペンションにダンパーがなかったら、ギャップを越えた後、 オートバイはいつまでも上下に振動したままとなってしまう。減衰力が大きくなればスプリングの 振動は早く収まる。ダンパーには2つのタイプがあり、オイル通路(オリフィス)タイプとバルブを 持ったピストンタイプとがあり、一般にオイル通路タイプをダンパーロッドタイプ、バルブを持った ピストンタイブをカートリッジタイプと呼んでいる。
この2つのダンパーはそれぞれ減衰力特性が異なり、カートリッジタイプの方が細かな路面の変化や 乗車状況の変化に対する追従性が優れている。ダンパーはオイルの入った密閉された筒の中を、 オイル通路またはバルブを持ったピストンが往復運動して、オイルがピストンにあるオイル通路、 またはバルブを出入りすることにより抵抗を生み出している。 縮むときは大きいオイル通路を通るので抵抗は小さく、伸びるときは小さいオイル通路を通るので 抵抗は大きくなる。この原理によりスプリングの振動を抑えている。

●Race Tech社のサスペンションに対する基本ポリシー
・重心位置はできる限り変更せず、サスペンションのみで路面の変化を吸収させる。
・スプリングにはスプリング、ダンパーにはダンパーの働きをさせる。
●上記の2つにより導き出された答え
・車種、体重によりスプリングレートを選択する。
・使用状況、ライダーの体重によりダンパーを調整する。
・極力フリクションを抑えサスペンションの動きをスムーズにし、上記2項の機能を十分発揮させる。
答えを導き出すために徹底した研究がなされ(メーカーのノウハウが蓄積されたブラックボックスで ある。カートリッジ部分にもメスを入れた)その研究の結果に裏付けされたテクノロジーにより開発された 商品がRace TechのGold Valveである。
Gold Valveの働き
Gold Valve Cartrige Emulator(カートリッジイミレーター)はダンパーロットタイプのフォーク の減衰力を、カートリッジタイプのフォークのような減衰力特性に変えることが可能。また、 カートリッジタイプ用のGold Valveは幅の広い(低速から高速までの)範囲で 確実に減衰力を発生させ、セッティングの幅も広くすることが可能となる。 万人向けに設計されたノーマルサスペンションを、ライダー各個人向け、使用方法/場所合わせた 各々のセッティングを可能にする。
●通常のフロントフォークの作動と、Gold Valveを装備したときの作動比較の説明
カートリッジタイプの場合
カートリッジタイプのフロントフォークはアウタチューブ、インナチューブ、カートリッジシリンダ、 カートリッジピストンの4つのパーツで、それぞれピストンとシリンダの関係を形成してる。
伸び側バルブ、圧側バルブと2つのオイル通路(オリフィス)により、それぞれの部屋の間をオイル が行き来できるようになっていて、基本的に伸び側減衰力が圧側減衰力よりも大きく発生している。
カートリッジタイプの大きな特徴は、バルブの間をオイルが流れる時、バルブのシムにより大きな 抵抗が生まれ、それがメインの減衰力となることである。従ってオイルの粘度よりもシムの働きが 重要となる。
Gold Valveを装着した時の構造も基本的に同じだが、バルブに付いているシムの働きをサスペン ションの移動(運動)速度により、機能が異なるように設定してある。つまりフロントフォークの 動くスピードにより、作動するシムが異なるのが特徴。
具体的には低速用シム、高速用シム、クロスオーバー用シムに分かれている。このシムの組合せ 枚数により、減衰力の特性を細かく、幅広く調整することが可能。
また、Gold Valveはノーマル以上のオイル通路を確保し、低速から高速までできる限りの幅を もたせたセッティングができるのも大きな特徴である。
減衰力変化グラフ
ダンパーロットタイプの場合
STDフロントフォーク内部図
ダンパーロットタイプのフロントフォークはアウターチューブ、インナーチューブ、 ダンパロッドの3つのパーツでそれぞれピストンとシリンダの関係を形成している。
フロントフォーク内部の伸び側オリフィス(オイル通路)、圧側オリフィス、バルブにより それぞれの部屋の間をオイルが行き来できるようになっている。
ダンパーロッドタイプの大きな特徴は、オリフィスにより(オイルがオリフィスを通るときに 生まれる抵抗により)減衰力が発生させられているという事。従って減衰力の発生がオイル自体の 状態に大きく左右されてしまうので細やかなセッティングが出来にくい。
フォークが縮むときは、圧側オリフィスとバルブ経由の2つのルートでオイルが移動するので、 伸びる時程大きな減衰力は発生しない。故に本来沈み込むべきストロークよりも大きく入り込む 傾向がある。逆にフォークが伸びるときはバルブを通らず、オリフィスのみを通りオイルが移動する ので、大きな抵抗が生まれ、そしてそれが大きな減衰力となりスプリングの伸びを制御する。 伸び側の減衰力が圧側よりも大きいため、伸びるときの反発が強く感じられてしまう。
Gold Valveを取り付けたときの大きな特徴は、圧側オリフィスの径を大きくして、抵抗を少なくし 減衰力を発生させないようにすること。 ダンパーロッド上部にGold Valveを取り付け、フロントフォークが縮むときは、圧側バルブが スプリングの力により、フォークのスピードに合わせてバルブの開放面積が変化し減衰力を調節する。 また、調整ボルトでスプリングテンションを変化させることにより、減衰力を変えることが出来る。
伸び側は従来の伸び側オリフィスの特性を生かし、Gold Valveでは伸び側バルブは多少の負荷を かけるにとどめてる。伸び側のオリフィスの径は小さくすることが出来ないので、伸び側の減衰力を 増すためには、オイル粘度を変えることで調節する。
Gold Valve図解
Gold Valveフロントフォーク内部図


TRX850にGold Valveを取り付けた”武田 衛さん”からのインプレッション
ひょんなことから12ヶ月点検のついでにTRXの頼りないフロントサスまわりをモディファイする ことにしました。組み込んだパーツは、フォークスプリングとゴールドバルブとフロントフォーク スタビライザーの3点。ちょっと心配だったのがスプリングの硬さ。ノーマルより全然硬いと聞いて いたのですが、実際に乗ってみると、確かに硬いのだけれどサスの動きはスムーズで、 荒れた路面でなければノーマルよりむしろ乗り心地が良いほど。 さすがに段差では反動がバンバンきますが、サスの収束が早くバイクが安定しているので ライディングが楽しいです。フロントサスとノーマルのリアサスのマッチングは、リヤの初期荷重 を強めにしただけでかなり良くなりました。スピードの乗ったコーナーで路面のうねりを越える時 などはリヤが負け気味ですが、60キロ?80キロで流して走っているときの車体のフラット感は なかなかのものです。
全体としては、ノーマルに比べて格段に操縦性が良くなりました。コーナー進入時はサスの動きが 良く分かるし、切り返しも軽快です。旋回中にふわふわ揺れる感じが無くなってコーナーリング ラインがピタッと安定しました。コーナーを優先して考えると、もう少しだけフロントの減衰を 強めたい(今は一番柔らかいフォークオイルを使用)のですが、通勤に使う機会が多い私としては 今のバランスで十分満足しています。
★フロントフォークModfay内容
  • OHLINS製・フォークスプリング(0,85kg/cm) \18,500
  • RECE TECH製・Gold Valve          \24,000
  • KAYABA製・フォークオイル(No5)      \1,350
  • その他ブッシュ・オイルシール類(OH時使用)\5,00O
  • Gold Valve組み込み工賃(フォークOH込み) \30,000(フォークのみ持ち込み\20,000)

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